児童養護施設とは


社会にはさまざまな事情により家庭で暮らせなくなる子どもたちをご家庭からお預かりし養育するのが児童養護施設です。
児童福祉法に則り運営され、入所年齢はおおむね2歳から18歳までの男女です。親や家族に代わって、保育士、児童指導員などの専門職員と共により家庭的な環境や雰囲気に配慮して生活を営んでいます。
学校は、地元の幼稚園、小学校、中学校、高校へ通います。学校の先生や地域の方々にも暖かく見守られながら地域の子どもの一員として大切にされています。

養育困難が改善され早期に家庭に戻ることが第一の目標ですが、なかには中学、高校を卒業して独り立ちする子もいます。そのためにも自立心をもって社会の荒波を乗り越えることのできるたくましい人格を育む必要があります。信頼関係を築き、時には厳しくても愛情ある養育の努力が一人ひとりに傾けられます。さらに幼児から高校生までの共同生活は心豊かで思いやりある人間性を育てる大きな力にもなっています。
施設概要
種 別 | 児童養護施設(設置認可1981年4月1日) |
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設置体 | 社会福祉法人聖ヨハネ会 理事長 側垣二也 |
園 長 | 側垣二也 |
職 員 | 21人 |
定 員 | 35人 |
所在地 | 〒929-1423 石川県羽咋郡宝達志水町菅原ヤ6番地2 Tel 0767-29-2681 fax 0767-29-3616 e-mail shio.k2@comet.ocn.ne.jp |
沿 革

石川県羽咋郡宝達志水町にある私立の児童養護施設です。
1980年(昭和55年)以前、能登地区の養護を必要とする子どもの増加が深刻な問題となりましたが、県内の児童養護施設はすべて金沢以西に所在し、能登の子どもたちもそれらの施設で生活していました。しかし奥能登から金沢までは遠距離のため保護者の面会等に不便であることや、風土の違いが子どもに精神負担を強いるのではとの懸念がありました。
そこで能登地区にあらたな児童養護施設が求められるようになり、当地宝達志水町(旧志雄町)の理解と支援を得て、1981年(昭和56年)、旧南邑知小学校の跡地に当園は設立され、6名の子どもを預かって施設の歩みを始め今日にいたっています。
理 念

キリスト教の日本聖公会金沢聖ヨハネ会教会を母体とした社会福祉法人聖ヨハネ会によって運営されています。法人の基本理念「信仰・希望・愛」を尊重して、当園の養育指針をに基づき、子どもと職員の全員がお互いの人格を尊重し、助け合い、苦楽を分かち合いながら生活をすることを目標としています。
また、日本国憲法の基本的人権、児童福祉法の規定、児童憲章の精神、さらに厚労省の児童養護施設運営指針、全国児童養護施設協議会の倫理綱領、石川県のこども総合条例などの規定を遵守し、子どもの権利条約に則り子どもの最善の利益を追求し、さらにその家族、地域社会に貢献することを使命としています。
養育指針
私たちは、次のことを守り、目標にして養育を行っています。
- 生命の尊重と愛、最善の利益を求める実践
生きることの尊さ、隣人愛そして子どもの権利は最も大切なこととし、安心、安全で自由な生活ができるように子どもの最善の利益が保障される実践を行います。
- 個性の尊重と共に生きる
個性と自由な行動を尊重し、言動、訴えを受容し、主体性を重んじて、共に考え、悩み、共に生活していくことをめざします。
- 衣食住環境の充実
子どもの成長、健康に配慮したおいしくて栄養のある温かい雰囲気での食事、衛生的で明るく落ち着きのある住環境、清潔で嗜好に合わせた衣服の提供など、生活が豊かになるよう日々の環境整備を行います。
- 自立支援と家族ケア
親、兄弟、家族がいつか共に暮らすことができるように目標を持って生活し、家族支援を継続しながら、離れていてもお互いの思いやりと絆を絶やさないよう配慮します。
- 個別的関わりと一貫性
心の安定のために、職員と子どもの一対一の関係が尊重され、またそれは年齢、性別、個性に応じた児童担当体制によって配慮され維持します。
- 全員の関わりと責任
児童担当制を維持しつつも全職員が子ども一人ひとりとよい関係と責任を持ち、養育のあり方について職員同士がお互い積極的な意見、時には批評ができる姿勢を持ちます。
- 援助者としての自覚と創造的生活
職員は援助者であり人格のモデルであるという自覚を持ち、活きいきと人間関係を営み、主体的で心豊かな生活ができるような生活プログラムを子どもと共に創造します。
- 謙虚で前向きな姿勢
職員は常に反省と前向きな行動で養育に務め、資質向上のために研鑚を怠らず、マンネリズムに陥らないよう努力を続けます。
- 関係機関や支援者との協働
子どもの養育と家族支援は、学校、地域、関係機関、施設支援者の協力と支えがあってできることであるとの認識を持ち、日頃からよい関係作りに努め、協働してゆく姿勢を持ちます。
- その他「権限の柔軟化」「積極的な地域支援」「迅速な緊急対応」「個人情報の保護と守秘」「法令・法人と園規則の遵守」などを指針として謳っています。

子どもたちの生活
幼児から高校生までの男女の共同生活のため、起床、掃除、食事、通学、学習、余暇、入浴、就寝などの日課は、年齢に応じてまた曜日、季節、学期、長期休暇などによって決まっています。家庭では昼夜逆転していたり三食満足に食べなかったりした子どもは少なくないので規則正しい生活リズムの習得は心身の健康のために必要です。ただし日課は大人が一方的に決めるものではなく、子どもたちが心地よい生活を主体的に送ることができるものでないといけないと考えています。そのため子ども会などで日課が誰のためのものかの確認や見直しの相談をして、納得してみんなで守ることができることを心がけています。
◇年間行事生活が単調にならないように、遠足、キャンプ、スキー、クリスマスなど季節に応じた行事、毎月の誕生会、また球技大会、卓球大会、ゲーム大会など県内施設交流行事、ボランティアによる訪問や招待事業への参加などを行います。ただ高齢児は部活動やアルバイトをしていますし、休日はゆっくり休みまた自由に楽しみたいという希望もあるため、無理せずバランスを考え計画しています。
◇生活費やお小遣い公的な措置費の「一般生活費」が支給されますので、日常の生活費、食費、学校の諸費用などはそれでほぼまかなうことができます。衣服や日用品雑貨などの購入は担当者が子どもと一緒に買い物します。保護者の方にはたとえば小学校進学の際のランドセルや制服などの購入のお願いすることもありますが、それは家族の絆を深めるためであって無理にお願いするものではありません。お小遣いは年齢で決めています。最高額は高校3年生の1か月5,000円です。


◇学校と学習
地元の幼稚園、小学校、中学校、そして希望の高校に通学しています。中学生まではスクールバスで登下校します。高校生は自転車で最寄りの駅に行き電車で通学しています。学校は私たちと常に連携し温かく見守り教育してくださっています。学力の低い子が少なくないので、毎日の宿題や自習に加えて、もてる力を伸ばすために専任の学習担当指導員による定期的なグループ学習、個別学習あるいはパソコンによる技能指導、進路指導などに力を入れています。

子どもたちは最近のゲーム機でよく遊び、テレビ、ビデオ、音楽鑑賞などで余暇を楽しみます。また三方を丘に囲まれた自然豊かな広い園庭では、砂場や遊具の遊び、球技スポーツなどをのびのびと楽めます。敷地内には町立軽スポーツセンターが併設されていて室内スポーツもできます。将棋やオセロ、百人一首のゲーム大会、フットサルなどの球技大会などの県内施設大会があるときには職員と一緒に練習を積み参加をします。昆虫や動植物に触れ育てたりして情操も養っています。そのためにも常に環境整備に努力しています。
◇食事と健康衛生管理食事は子どものからだの成長と心の癒しには最も大切な要素であるという認識をもって、栄養、衛生を考えた毎日の食事を提供し、温かい和やかな雰囲気で食事ができるよう配慮しマナーの指導をしています。季節ごとの節句、特別な催しや誕生会には特別献立になります。また部屋ごとに自分たちで献立を考え、その食材を買物し調理をする機会もあり、独り立ちの準備も行っています。また虚弱な体質の子どもの健康管理には細心の注意を払い、嘱託医や病院と連携をとり傷病児の受診を頻繁に行っています。インフルエンザなどの感染症の予防、対処のためにマニュアルを整備し徹底しています。
◇心理的支援と自立支援入所前に不適切な関わりを経験した子どもは少なくありません。そのため人間関係の基礎を身につけるため信頼ある大人の介在や心理的治療などの専門的な支援がおこなわれています。また注意深い日常養育のなかに、生きる力を育むためのプログラムを取り入れています。子どもの行事やスポーツ、食事作りもその目的に沿うよう実施します。また外部講師を招聘したプログラムでは、中高生を対象に社会で必要な知識や情報をわかりやすく教え自立生活に備えています。高校生にはアルバイトで就業体験と自立資金の貯えをすることを奨励しています。さらに施設退所後のアフターケアーにも積極的に取り組んでいます。

子どもたち一人ひとりが主体的、創造的、前向きな生活ができまた不服や訴えも率直にできるように、職員の不断の心がけと傾聴姿勢ともに、学齢別の「子ども会」を定期的に開いています。またお小遣いの値上げや携帯電話の所持のあり方など要望の強いテーマについては、子ども代表の高校生数人と職員代表が話し合いをする場として「子どもの家委員会」があります。言っても仕方がないと諦めるのではなく、要望を実現するためにはどうしたらよいか、園内の幼児も含めた子ども全員の利益になりまた大人も納得できる方法はなにかを、担当職員が子ども側に立ち一緒に考え見つけるために話し合う委員会です。子どもの最善の利益など主体的権利を具現化するための大切な取り組みと考えています。
施設体制図

